バンクシー作品
作品紹介
TOMATO SOUP POSTER/SOUP CANS (Tesco Value Tomato Soup)(トマトスープ)
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84 × 59 cm
POW (PICTURES ON WALLS)版 オフセットリトグラフポスター
トマトスープ缶が食品の陳列棚のように並べられた印象的なこの作品は、アンディ・ウォーホルが1962年に発表したキャンベルスープ缶に着想を得た作品です。バンクシーは2003年にロンドンのテート美術館に潜入し、「SOUP CANS」というスープ缶20個を並べた作品を無断で展示しました。バンクシーの故郷ブリストルにテスコが進出する事に対する抗議運動と言われています。
ウォーホルがキャンベル缶で消費者社会に対する敬意を表したのとは対照的に、バンクシーはTESCOのバリュー商品をテーマに選んだことにより、巨大企業の支配や過剰な消費者主義を批判しています。
この作品はポスターとして、バンクシーの作品販売を手掛けていたPICTURES ON WALLS、通称POWからオープンエディションで2004年から数年限定で販売され、その後2017年にPOWが閉店される際に僅かな枚数だけ再販されました。ノーサインのポスターでありながら、POW発行という事で希少価値が上がり年々入手が難しくなっています。サイン入りの版画はトマトスープ缶の数、色にもよりますが、1~3千万の評価額が付いています。
TOXIC MARY(トキシック・メアリー)
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70 × 50 cm
WEST COUNTRY PRINCE リプロダクション・スクリーンプリント 500エディション
別名 Virgin Mary 聖母マリアというタイトルのこの作品は、バンクシーにとって初のロンドンでのメジャーな展示会だった"Turf War"で発表されました。
聖母子像をイタリア・ルネサンス的な構図で描きながらも、マリアが手にしている哺乳瓶には毒薬のマークが書かれています。
メインフレームからはみ出して余白にまで滴る液体のような線はトロンプ・ルイユという騙し絵の手法を思わせます。
毒薬を持った聖母の姿は、親から幼い子供へ受け継がれる宗教の有毒なイデオロギーとも、一般的な家族関係の毒性とも、あるいは母乳より粉ミルクを推奨するビッグファーマの資本主義社会にたいする反論と解釈する人もいます。
VERY LITTLE HELPS(ベリー・リトル・ヘルプ)
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50 × 37 cm
WEST COUNTRY PRINCE リプロダクション・スクリーンプリント 500エディション
テスコのレジ袋を旗のように掲げる子供と、忠誠を誓うように胸に手を当てて袋を見上げる子供たちを描いたこの作品は、テスコ・フラッグやテスコ・キッズの名でも知られています。
バンクシーはこれまでも度々消費主義や商業施設についての批判を公にしてきましたが、イギリスの巨大チェーン店であるテスコは、ここでは独立した小売店を破壊するビッグビジネスの象徴として描かれています。
この作品のタイトル「VERY LITTLE HELPS(ほとんど何の役にも立たない)」は、テスコのスロー ガン「EVERY LITTLE HELPS (諺-どんな些細なことも役に立つ)」のウィットにとんだ強烈なもじりとして、この作品を引き立てています。
この作品のオリジナルは版画とは反転した構図で、北ロンドンのエセックス通りにある薬局の壁に 2008 年に描かれました。
壁画の保護に使われたニスによるダメージや上書きなどで、現在では絵の 一部がかろうじて残るのみですが、このような過程もグラフィックアートの在り方といえます。
WELCOME TO HELL(ウェルカム・トゥ・ヘル)
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50 × 35 cm
WEST COUNTRY PRINCE リプロダクション・スクリーンプリント 500エディション
2004年の「プラカード・ラット」シリーズの1点で、この「Welcome to Hell」(地獄へようこそ)の他に「Because I'm Worthless (私には価値がないから)」、「Get Out While You Can (今のうちに出ていけ)」とメッセージ違いで3バージョンがあります。
メッセージの暴力性と対照的に、ネズミは平和のサインを首に着けています。
バンクシー作品を特徴づけている複雑なダブルミーニングがこの作品でも見受けられます。
行き過ぎた資本主義や消費主義、法や軍の在り方など、バンクシーは様々な作品で直接的、間接的に警告を発しています。
モチーフとしてのネズミは、都市から疎まれ駆除される存在としてグラフィティーアートとの類似点がよく指摘されます。
現代社会におけるアウトサイダーとしての自身でもあり、ストリートに生きるあらゆる種類の人々を表現していると考えられています。
WESTON SUPER MARE (ウェストン・スーパー・メア)
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30 × 100 cm
WEST COUNTRY PRINCE リプロダクション・スクリーンプリント 500エディション
杖を持った年配者が膝の上で手を組んでベンチに座っています。
幸いにも、遊歩道を近づいてくる鋸の歯には気づいていないようです。
バンクシーの出身地ブリストルの南西に位置する海沿いの美しい町、ウェストン・スーパー・メア。
子供のころに毎夏家族と訪れた思い出の地とインタビューで語っています。
この作品は2003年に発表されましたが、その頃にはすっかり寂れ昔の面影は残っていませんでした。
グラフィティアーティストのための遊園地を建てたいとかつて言っていたバンクシーが選んだのが、廃れた思い出の地Weston Super Mareです。
2015年にアート版テーマパーク、ディズニーランドのダークパロディDismaland(ディズマランド)を開催します。
約15万人が訪れ35憶の経済効果をもたらしました。
現代社会への辛辣なアイロニーで満たされたエキシビションは、バンクシーたちの主張をアピールする場としても、街おこしとしても大成功を収めました。
Weston Super Mareは単純に町を描いただけでなく、バンクシーの強い思いが詰まった作品ともいえます。
WRONG WAR (ウロング・ウォー)
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70 × 50 cm
WEST COUNTRY PRINCE リプロダクション・スクリーンプリント 750エディション
バンクシーは2003年にロンドンで行われたイラク戦争に対する抗議デモのために、いくつかのシンボルを作成しました。
オリジナルのプラカードは街中に捨てられたか、警察に押収され殆ど現存していません。
ダンボールに ”WRONG WAR(戦争は間違っている)”の文字と共にボム・ハガーやハッピーチョッパー、グリン・リパーが描かれたプラカードを持って彼らは3月のデモに参加しました。
通常、バンクシーの鑑定機関であるペストコントロールはストリートアートには証明書の発行をしていませんが、これらの現存するプラカードにはペストコントロールから書面で連絡が取られていて、ダンボールという痛みやすい素材の作品である事も相まって非常に希少価値の高い作品となっています。
GRIN REAPERをモチーフにしたこのWRONG WARは、ダンボール版に描かれたオリジナル版のイメージを反転したシルクスクリーンが100部限定で2004年に発売されたほか、サイズ違いなどのバリエーションが存在します。