バンクシー作品
作品紹介
CND Soldiers(CND)
70 × 50 cm
WEST COUNTRY PRINCE リプロダクション・スクリーンプリント
銃を持った兵士が辺りを警戒する中、もう一人が壁に赤い塗料で大きなマークを描いています。
今では平和のシンボルとして知られるこのマークは、元はイギリスの核軍縮キャンペーン (CND) のシンボルマークとして1958年にデザインされました。
兵士たちの緊張した顔つきから、処罰を覚悟の上での抗議行動とみて取れます。
この作品が描かれた2003年当時、イギリスでは兵士や市民によるイラク侵攻にたいする反戦デモが繰り広げられており、平和活動家のブライアン・ホウが反戦抗議運動としてウェストミンスターでピースキャンプを続けていました。
国会議事堂前に設置したこの作品は、2006年に警官により他の反戦バナーなどと共に一斉撤去されてしまいましたが、後にこの撤去に対する抗議活動として、別のアーティストによりバンクシー作品を含む撤去された全てが復元されテート美術館に展示されました。
POWによるスクリーンプリント版は、2005年にサイン入りとサイン無し各350部の限定で発売されました。
2022年にウクライナを支援するためのオークションではこのCNDが出品されるなど、反戦へのバンクシーの想いが強く伝わる作品です。
DI-FACED TENNER
ダイアナの顔の10ポンドと題されたこの作品は、2004年に発表されました。DIはダイアナ妃の名前の他に、Defaced (傷づけられた)との語呂合わせとなっていて、イギリス王室と複雑な関係であった元妃を表しています。
”Bank of England"の代わりに”Banksy of England”と印刷され、裏面はダーウィンの下の言葉が”Trust No One"と書き換えられました。
紙にインクで印刷されたこの偽紙幣は、本物の10ポンド紙幣と良く似ていました。
資本主義を皮肉ったこの作品/偽札は2004年8月に少なくとも10万部、計100万ポンド分作られました。
アートスタントによって、スーツケースに入った偽札がノッティングヒルカーニバルとレディングフェスティバルの会場でばらまかれると、それを本物の紙幣として会場やパブ等で使う人が続出したため、すぐに回収されています。
天からお金が降ってきたらどうするか、というプロジェクトでしたが、人々は普通に偽札を使い、後にこれがバンクシーのプロジェクトだと判明すると価値が跳ね上がり、偽札のコピーがネットで出回るという皮肉な結果となりました。
バンクシーによる最も悪名高いプロジェクトの一つとして現在では記憶されています。
2019年2月に大英博物館が公式にこのパロディ紙幣の所蔵を決定した事で話題となりました。
GET OUT WHILE YOU CAN(ゲットアウト・ホワイル・ユー・キャン)
50 × 35 cm
WEST COUNTRY PRINCE リプロダクション・スクリーンプリント
2004年の「プラカード・ラット」シリーズの1点で、この「Get Out While You Can (逃げ出すなら今のうち)」の他に、「Welcome to Hell」(地獄へようこそ)、「Because I'm Worthless (私には価値がないから)」とメッセージ違いで3バージョンがあります。
文字がピンクの作品も存在します。
資本主義における終わりのない競争、消費社会に抑圧される社会的弱者へのメッセージと捉えられています。
このプラカードラットが初めて登場したのはロンドンのChiswell通りで、「London Doesn't Work (ロンドンは機能していない)」の文字を掲げていました。
過激なメッセージと対照的に、ネズミは平和のサインを首に着けています。
この元になった壁画は今でもロンドンで目にする事ができますが、バンクシーの過激なメッセージはライバルのグラフィティーアーテストKing Robbo(キング・ロボ)によって「I♡LONDON ROBBO」と上書きされています。
バンクシーがロボの作品を上書きするという禁忌をおかしてから勃発した二人のグラフィティ戦争ですが、ロボの不慮の死により終焉を迎えます。
この小さなグラフィティは2人のアーティストが残したロンドンのストリートアート史にとっても重要な作品です。
WELCOME TO HELL(ウェルカム・トゥ・ヘル)
50 × 35 cm
WEST COUNTRY PRINCE リプロダクション・スクリーンプリント
2004年の「プラカード・ラット」シリーズの1点で、この「Welcome to Hell」(地獄へようこそ)の他に「Because I'm Worthless (私には価値がないから)」、「Get Out While You Can (今のうちに出ていけ)」とメッセージ違いで3バージョンがあります。
メッセージの暴力性と対照的に、ネズミは平和のサインを首に着けています。
バンクシー作品を特徴づけている複雑なダブルミーニングがこの作品でも見受けられます。
行き過ぎた資本主義や消費主義、法や軍の在り方など、バンクシーは様々な作品で直接的、間接的に警告を発しています。
モチーフとしてのネズミは、都市から疎まれ駆除される存在としてグラフィティーアートとの類似点がよく指摘されます。
現代社会におけるアウトサイダーとしての自身でもあり、ストリートに生きるあらゆる種類の人々を表現していると考えられています。
MONKEY QUEEN(モンキー・クィーン)
50 × 34.5 cm
WEST COUNTRY PRINCE リプロダクション・スクリーンプリント
初めてイギリスのグロスター州にある小さな町のユースクラブの壁面に描かれたこの絵には、
『英国社会で最高の地位は才能や勤勉に対する報酬ではなく、出生の事故によって与えられるという事実を祝福しよう。女王陛下万歳』
そんな過激な言葉が添えられていました。
君主制と国旗に対する不敬だとして苦情が寄せられ、バンクシーゲートとして紙面を賑わせました。
英国政府は女王の即位50周年祝典の期間中は絵を外すようユースクラブに要請しましたが、それもまた表現の自由に反するとして反発を呼びました。
結局はユースの代表が差しさわりのない英国旗のポスターに置き換えています。
ちなみに女王の即位50周年にあたる2012年には、もっと保守的な若い頃の女王の肖像がブリストルの街に描かれています。
NOLA(ノラ)
NOLA (Umbrella Girl, Rain Girl)
76 × 56 cm
WEST COUNTRY PRINCE リプロダクション・スクリーンプリント
NOLA (Multi-Colored)
76 × 56 cm
WEST COUNTRY PRINCE リプロダクション・スクリーンプリント
ノラ、又はレインガールと呼ばれるこの作品は、2008年にアメリカ・ルイジアナ州ニューオーリンズのマリニー地区に壁画として描かれました。
3年前の2005年にこの地域を襲ったハリケーン・カトリーヌによる悲劇に対して制作された14種類の壁画のひとつで、タイトルのノラはニューオーリンズの愛称でもあります。
少女がいぶかしげに傘の外に手を出して、雨が降っているのは外ではなく、雨を避けてくれる筈の傘そのものからだと気付きます。
バンクシーはインタビューで本来なら私たちを保護してくれる筈のものが時として害を及ぼす可能性があることを表していると述べています。
PAPARAZZI RAT(パパラッチ・ラット)
36 × 36 cm
WEST COUNTRY PRINCE リプロダクション・スクリーンプリント 750部
バンクシーとメディアの関係、そして「セレブ」の概念は常に複雑なものでした。
バンクシーは間違いなく現代で最も有名なアーティストの一人だといえまずが、バンクシーは匿名を貫き、アート業界の部外者であり続けています。
結果的に著名人となったとはいえ、彼自身は有名になることに興味がないと考えるのが妥当でしょう。
この「パパラッチ・ラット」はこの奇妙な関係を突き詰めた作品です。
バンクシーの作品にはメディアが不可欠です。
パレスチナの壁に描かれたLOVE IS IN THE AIRや、ディズニーランドに囚人服を着た人形をゲリラ的に展示したインスタレーションは、完成とほぼ同時に世界中に情報が届きました。
一方、メディアは両刃の剣であり、セレブ文化に対する私たちの好奇心、執着を助長させてきたと言えます。
これは間違いなくバンクシーにとって嫌悪感を抱かせるものです。
通常、バンクシーにとってネズミは弱者の象徴として賞賛を持って描かれることが多いのですが、ここではカメラを武器に振り回す邪悪な存在として描かれています。
QUEEN VICTORIA(クィーン・ヴィクトリア)
70 × 50 cm
WEST COUNTRY PRINCE リプロダクション・スクリーンプリント
バンクシーは常々英国王室や政府に対して批判的な事で知られ、エリザベス女王をチンパンジーにもじったMONKEY QUEENやチャーチルを緑のモヒカン姿で描いたTurf Warなど、痛烈な作品を発表しています。
中でも、2003年に発表されたこの作品は最も物議を醸す作品のひとつといえるでしょう。
ヴィクトリア女王はかつて女性の同性愛に対して無知ともいえる発言をしていますが、彼女自身に同性愛傾向があったのではないかとの憶測もあり、そのことを揶揄した作品と言われています。
2006年にバンクシーはLAでBarely Legal展を開催し、アメリカでの地位を確立します。
その翌月クリスティーナ・アギレラがQUEEN VICTORIAの原画含むを3点を購入した事が大きな話題となり、この作品自体も注目を集めました。
そのすぐ後で開催されたオークションで落札価格の最高額が更新されるなど、バンクシーの知名度を飛躍させた代表作のひとつでもあります。
SALE ENDS(セール・エンド)
50 × 70 cm
WEST COUNTRY PRINCE リプロダクション・スクリーンプリント 750部
2006年にLAで開催された個展「Barely Legal」(かろうじて合法)のために制作された作品で、バンクシーのアメリカでの人気に火が付いたとされている重要な個展でもあります。
2013年からバンクシー等のグラフィティアートやイラストを扱ってきたギャラリー Pictures on Walls (POW)が2017年に閉店するにあたり、500部限定で抽選販売された作品のひとつです。
バンクシーのアーティスト活動を語る上でも重要な存在であるPOWのエンディングを飾った、ひとつの節目を象徴する作品ともいえます。
聖書の場面に登場するような人物たちが嘆いているのは、磔刑にされた救世主ではなく「SALE ENDS TODAY」(今日でセール終了)の看板。
先進国における行き過ぎた消費主義、資本主義をシニカルに描いたバンクシーらしい作品です。
SOUP CAN(スープ缶)
SOUP CAN (Black, Orange and Pink)
50 × 35 cm
WEST COUNTRY PRINCE リプロダクション・スクリーンプリント
SOUP CAN (Blue)
50 × 35 cm
WEST COUNTRY PRINCE リプロダクション・スクリーンプリント
SOUP CAN (Yellow)
50 × 35 cm
WEST COUNTRY PRINCE リプロダクション・スクリーンプリント
TESCO社のバリュー商品のトマトスープ缶を描いた作品です。
アンディ・ウォーホルの最も有名な作品のひとつ、1962年作のキャンベルスープ缶のシリーズを元にしています。
食品の陳列棚のように展示された世俗的なキャンベルスープのシリーズは大いなる論争を巻き起こしましたが、大衆文化から主題を得たこのシリーズはポップ・アートの発展を導いたアート史に残る作品です。
ウォーホルがキャンベル缶で消費者社会に対する敬意を表したのとは対照的に、テスコの商品をモデルにする事によって、バンクシーは巨大チェーン店によるマーケットの支配や、ブランド志向を批判していると考えれれています。
2003年に小さいスープ缶20個並べた「SOUP CANS」という作品をロンドンのテート美術館に潜入し無断で展示したことで知られています。
バンクシーの故郷ブリストルにテスコが進出する事に対する抗議運動と言われています。
版画は2005年に発売されました。
3つの部分 (ラベル、ストライプ、value)の色の組み合わせにより、豊富なカラーバリエーションが存在します。