バンクシー作品
作品紹介
GANGSTA RAT (GREEN)(ギャングスタ・ラット (グリーン))
50 × 35 cm
WEST COUNTRY PRINCE リプロダクション・スクリーンプリント 500エディション
公共の場にグラフィティを残す行為がそもそも非合法であるため、グラフィティ制作者はネズミのように人目を盗んで街を徘徊し、見つかれば消去される作品を残していきます。
ストリートアートの象徴としてのネズミは、1980年代にパリを中心に活躍したステンシル・グラフィティの父と呼ばれるル・ラットが「街で唯一の自由な存在」と呼んで好んで描いたモチーフでもあります。バンクシーは『いつも何か独創的なものを描こうとすると、すでにル・ラットがやってると気付くんだ。それも20年も前にね』と彼について語っています。
排斥されながらも自由で破壊力を持った現代社会におけるアウトサイダーとして、ネズミはバンクシー自身をなぞらえてると考えられています。GANGSTA RATにはAPPLE社のiPodをもじったiPewという文字が描かれていますが、文字の色違い、文字のないバージョン、文字の代わりにピースマークの入ったものなど、様々なバリエーションが存在します。
GET OUT WHILE YOU CAN(ゲットアウト・ホワイル・ユー・キャン)
50 × 35 cm
WEST COUNTRY PRINCE リプロダクション・スクリーンプリント 500エディション
2004年の「プラカード・ラット」シリーズの1点で、この「Get Out While You Can (逃げ出すなら今のうち)」の他に、「Welcome to Hell」(地獄へようこそ)、「Because I'm Worthless (私には価値がないから)」とメッセージ違いで3バージョンがあります。
文字がピンクの作品も存在します。
資本主義における終わりのない競争、消費社会に抑圧される社会的弱者へのメッセージと捉えられています。
このプラカードラットが初めて登場したのはロンドンのChiswell通りで、「London Doesn't Work (ロンドンは機能していない)」の文字を掲げていました。
過激なメッセージと対照的に、ネズミは平和のサインを首に着けています。
この元になった壁画は今でもロンドンで目にする事ができますが、バンクシーの過激なメッセージはライバルのグラフィティーアーテストKing Robbo(キング・ロボ)によって「I♡LONDON ROBBO」と上書きされています。
バンクシーがロボの作品を上書きするという禁忌をおかしてから勃発した二人のグラフィティ戦争ですが、ロボの不慮の死により終焉を迎えます。
この小さなグラフィティは2人のアーティストが残したロンドンのストリートアート史にとっても重要な作品です。
GIRL WITH BALLOON(風船と少女)
GIRL WITH BALLOON (Gold)
70 × 50 cm
WEST COUNTRY PRINCE リプロダクション・スクリーンプリント オープンエディション
GIRL WITH BALLOON (Purple)
70 × 50 cm
WEST COUNTRY PRINCE リプロダクション・スクリーンプリント オープンエディション
GIRL WITH BALLOON (Red)
70 × 50 cm
WEST COUNTRY PRINCE リプロダクション・スクリーンプリント オープンエディション
バンクシーにとって最も重要な作品のひとつであり、世界中で評価される切っ掛けとなった作品でもあります。
風船の色やキャンバス版など様々なバリエーションが存在します。
2017 年にはサムソンの調査でイギリスで最も人気のあるバンクシー作品(シリーズ)との結果が発表されました。
オリジナルの Girl with Balloon は 2002 年、ロンドン南部サウスバンクにあるテムズ川沿いの階段の壁画として登場しました。
「THERE IS ALWAYS HOPE」(希望はいつもそこに)というメッセージ が添えられていました。
他にも様々な「少女と風船」がロンドン各地に描かれましたが、グラフィティアートの宿命として、現在では市の職員によって全て塗り潰され現存していません。
風船と少女のモチーフは繰り返し登場します。2014 年にシリア難民の少女を描いた作品を発表し、反戦キャンペーンはネットを中心に世界に広がりました。
2018 年にはロンドンのサザビーズ・オークションに出品され、落札と同時に額に仕掛けられたシュレッダーによって絵が裁断され、人々を驚愕させました。
半分裁断されたこの作品は『愛はごみ箱の中に』と新たに名前を付けられ、2021 年 10 月に再びオークションにかけられバンクシー作品では過去最高額の約 29 憶で落札されています。
GLITTER GORILLA (グリッター・ゴリラ)
60 × 50 cm
WEST COUNTRY PRINCE リプロダクション・スクリーンプリント 750エディション
Gorilla in a Pink Maskとして知られるこの作品は、バンクシーの活動初期の2001~2002年頃に、ブリストルのイーストヴィル地区の公共施設の壁に描かれました。
この建物は後にイスラム系モスクとなり、この壁画がバンクシーによるものと気付かなかった建物の所有者によって2011年に上描きされてしまいますが、その後修復されました。
2020年、絵画の修復を手掛けるExposed Wallsがオーナーの依頼を受けて壁から取り外して修復した事を公表。
当初壁画はオークションにかけられる予定でしたが、コロナ渦のロックダウンの影響でオークションは延期され、現在はExposed Wallsが所有しています。
猿はバンクシーが好んで使用するモチーフの一つですが、この作品は「猿の議会」に先駆けて、バンクシーが霊長類を初めて登場させた作品と言われています。
別名である「グリッター・ゴリラ」の名前でオリジナルとはマスクの色が違う数種類のバージョンが版画となっています。
GOLF SALE(ゴルフ・セール)
34.5 × 49.5 cm
WEST COUNTRY PRINCE リプロダクション・スクリーンプリント 500エディション
バンクシーは権威と軍事的支配に対する反抗を度々作品のテーマにしてきました。
このパワフルな作品は、1989年に天安門事件の直後に撮影された戦車の行く手を遮る男性を撮影した「無名の反逆者」と呼ばれる写真をモチーフにしています。
たった一人で非暴力による抵抗を貫いたこの勇敢な男性をモデルにしたこの作品では、セールの最後尾を誘導する人のように「ゴルフセール」と書かれたプラカードを掲げています。
バンクシーは、この作品で資本主義と戦争を強烈に批判すると同時に不正に対し立ち向かう抗議者への賛辞を表しています。
2001年に出版された本 ”In Banging Your Head Against A Brick Wall”の中で、「資本主義が崩壊するまで私たちは世界を変えるために何もすることができません。
それまでの間、私たちは自分たちを慰めるために買い物に行くべきです」とバンクシーは語っています。
この作品の他にも、SALE ENDSやCHRIST WITH BAGS, DESTROY CAPITALISM等でバンクシーは度々資本主義社会を揶揄する作品を手がけています。
GRIN REAPER(グリン・リーパー)
GRIN REAPER
70 × 40 cm
WEST COUNTRY PRINCE リプロダクション・スクリーンプリント 500エディション
笑う死神と題されたこの作品は、2005 年にイーストロンドンのオールドストリートに描かれました。
壁画は 2007 年に上塗りされ消されてしまいましたが、バンクシーの中でも特に知名度の高い作品のひとつです。
ちょっと見は友好的に見えるにこやかな死神ですが、そのスマイリーフェイスはよく見ると平面的で、避けられない運命を嘲笑するものとして、その下に隠されている本意を考えると不吉さが増すようです。
ロンドンのビッグベンを模した時計は 12 時 5 分前を指していますが、この時刻は取り返しのつかない終わり、地球規模の大惨事が近づいている事を暗示していると考えられています。
これに先立つ 2003 年にイギリスで起こったイラク戦争に対する最大の反戦運動に際し、バンクシーは WRONG WAR の文字と共に描かれたスマイリーフェイスの死神を配布しました。
デモ参加者はこのグラフィティーをプラカードにして反戦を訴えました。重要な意味をもつモチーフのひとつです。
HAPPY CHOPPERS(ハッピー・チョッパーズ)
70 × 50 cm
WEST COUNTRY PRINCE リプロダクション・スクリーンプリント 500エディション
2002年にセントラル・ロンドンの壁に描かれ、翌年のサンタズ・ゲットー(Santa's Ghetto)というXmasイベントでイスラエルとパレスチナ紛争と、ウェストバンクの貧困問題に焦点を当てるためにプリント版が制作されました。
タイトルのチョッパーとはアメリカのスラングでヘリコプターのこと。Chop=切り刻むの意味で、大気を切るローター音と、標的を粉砕する機関銃(を装備した)武装ヘリの二重の意味を含みます。脅威的な軍用ヘリの隊列と、ピンクのリボンやマンガのような白い雲の場違いな対比が印象的です。脅威を内在する軍用機を男らしさや愛国精神的な飾りでごまかしている事への冷笑的な批判と捉えられています。
バンクシーはヘリコプターを軍による介在の象徴として繰り返し描いています。2003年にイラク戦争反対運動でバンクシーはこの作品などを配布しデモ参加者はプラカードに使用して行進しました。英国バンドのブラーやマッシブ・アタックがこの活動に賛同して喧伝した事でバンクシーに注目が集まることとなりました。
HAVE A NICE DAY(ハヴァ・ナイス・デイ)
35 × 100 cm
WEST COUNTRY PRINCE リプロダクション・スクリーンプリント 750エディション
戦車を中央に横並びになった憲兵隊の顔が、不気味にもみな同じスマイリー・フェイスというこの作品は、2003年に発表されました。
笑顔のマスクは軍隊や警察の権威を弱めると当時に、個人の匿名性を高め、彼らの発する威圧的なオーラをより誇張しています。
暴動鎮圧用のフル装備を身に着けた憲兵隊が何らかの見えない「脅威」に対して行進しようとていますが、実際に向かおうとしている対象はこの作品を見ている私たちでもあります。
この作品に描かれたアシッドハウスのスマイリー・フェイスは、バンクシーが好んで用いるモチーフのひとつで、GRIN REAPERやFLYING COPPERに代表されるように、特に人をコントロールする手段として「恐怖」を用いる人物を描写する場合に使われます。
この作品でバンクシーは笑顔の後ろに隠された脅威を警告しているようで、「よい一日を」というタイトルが、実は単に彼らを揶揄しているだけとも考えられるのが、バンクシーたる所以でしょう。
HMV - (His Master's Voice)(HMV)
35 × 50 cm
WEST COUNTRY PRINCE リプロダクション・スクリーンプリント 500エディション
蓄音機から流れる亡くなった飼い主の声に耳を傾けている、世界で最も有名な犬と言われるニッパー。
ニッパーを引き取った画家のフランシス・バロウドによって描かれた絵は「His Master's Voice」、彼のご主人の声と名付けられました。
他社製品だった蓄音機を描き直す事を条件に、この絵はグラモフォン社の買上となり、後にビクターにより商標権が買い取られて世界中に知られるようになりました。
声に耳を傾ける代わりに人間のようにバズーカを肩に担いで蓄音機を狙うバンクシー版のHMVは、2003年にロンドンのCargoというナイトクラブの敷地内に壁画として描かれました。
アクリル樹脂のボードと監視カメラで厳重に保護され、今でも現存する数少ないグラフィックアートとして人気を集めています。
そのため、この壁画はGuard Dog(ガード・ドッグ)とも呼ばれています。
この作品は、蓄音機を現代の音楽産業の資本主義的性質の象徴としてみる事も、蓄音機とバズーカが時代遅れと先進の対比を表していると解釈することも可能です。
版画は2003年にサイン入り150部とノーサイン600部でリリースされました。