バンクシー作品
作品紹介
BERCODE(バーコード)
50 × 70 cm
WEST COUNTRY PRINCE リプロダクション・スクリーンプリント 500エディション
バンクシー初期の代表作のひとつです。ロンドン進出前の 1999-2000 年頃の作品で、ブリストル の民家の外壁に描かれました。
この作品は 2010 年の改築で失われたと考えられていましたが、 家主の許可を得た建築業者が壁から取り外して保管していた事が後に判明しました。
バンクシーは白と黒のみで表現することにより、作品の持つメッセージを強調するという手法をしばしば用います。
この作品にはいくつかの解釈が可能です。まず、野生動物の密輸や娯楽のために 利用している事に対する批判。
そして 1970 年代半ばに導入されたバーコードはあらゆる物に値段をつける事ができ、購入を迅速化させた消費主義や資本主義の象徴として描かれています。
檻をバーコードに見立てる事で、消費システムに囚われているこの社会を揶揄しているともいえます。
個体によって異なる斑点のパターンを持ち、多様性を表す豹と、同じく同一のパターンは無いにも関わらず均一性を表すバーコードの組み合わせは皮肉が効いていてユニークです。
BECAUSE I'M WORTHLESS(ビコーズ・アイム・ワースレス)
50 × 35 cm
WEST COUNTRY PRINCE リプロダクション・スクリーンプリント 500エディション
2004 年の「プラカード・ラット」シリーズの 1 点で、この「Because I'm Worthless (私には価値 がないから)」の他に、「Welcome to Hell」(地獄へようこそ)「Get Out While You Can (逃げ出す なら今のうちに)」とメッセージ違いで 3 バージョンがあります。
文字がピンクの物も存在します。
このフレーズは当時イギリスの街中に蔓延していた女性向けヘアケア製品のキャッチフレーズ 「Because I'm worth it(私にはその価値がある)」をもじったものです。
このスローガンが誕生し たのは 1971 年で、いまだ性差別的だった当時にあってこの言葉は非常に画期的なものでしたが、繰り返され形骸化してしまったこのキャッチフレーズの退屈さを皮肉ったものとされています。
モチーフとしてのネズミは、都市から疎まれ駆除される存在としてグラフィティーアートとの類似点がよく指摘されます。
現代社会におけるアウトサイダーとしての自身でもあり、ストリートに生きるあらゆる種類の人々を表現していると考えられています。
BOMB HUGGER(ボム・ハガー)
70 × 50 cm
WEST COUNTRY PRINCE リプロダクション・スクリーンプリント 500エディション
ポニーテールの少女がテディベアでも抱くように大きな爆弾を抱えている、戦争と愛という相反するテーマを探求したバンクシーの初期の象徴的な作品です。
バブルガムのような鮮やかなピンク色の背景に対して、少女はモノクロで描かれ、爆撃機から投下されるような巨大な爆弾は少女の小ささをより強調しています。
まず2001年にイーストロンドンの壁に描かれ、別バージョンが2003年にブライトンに登場しました。
スクリーンプリントは2003年に制作され、その後もキャンバス版などフォーマットを変えて繰り返し描かれています。
反戦活動にはプラカードに描かれたこの作品が用いられました。
民主主義や平和維持を方便にした戦争行為に対する疑問を表現すると共に、愛の力がまだ有利だというバンクシーのメッセージでもあります。
BOMB MIDDLE ENGLAND(ボム・ミドル・イングランド)
35 × 100 cm
WEST COUNTRY PRINCE リプロダクション・スクリーンプリント 500エディション
帽子を被った年配女性たちがブールと呼ばれる球技を楽しんでいます
色が使われているのは芝生の緑だけで、二重の色使いが鮮やかで目を引きます。
ただし、球技に使われいてるのは爆弾です。
この作品はバンクシーがよくターゲットにする「無関心なブルジョワ」がテーマですが、戦争や破壊、貧困などといった厳しい現実とは無縁で、関心すらない富裕層への批判、または英国の中流階級の文化への揶揄でもあり、他人の命を一切顧みず、結果にも影響されずにゲームのように戦争をするエリート社会に対する痛烈な非難とも捉える事ができます。
また同時に、女性たちの帽子が軍のヘルメットを思わせるという指摘もあります。
この作品はBOMB HUGGERやHAPPY CHOPPERSなどに見られるような、戦争で利益を得る軍産複合体への抗議を込めた反戦の作品としても、様々な捉え方が可能な作品です。
アクリルとスプレーペイントによるオリジナル作品は、2007年にサザビーズのオークションで約1700万で落札されました。
POWによるスクリーンプリントは2003年に500部制作され、うちサイン入りは50部のみしか作られなかったため、現在では入手が大変困難な希少版となっています。
CHOOSE YOUR WEAPON(チューズ ユア ウェポン)
CHOOSE YOUR WEAPON (Flouro green)
70 × 70 cm
WEST COUNTRY PRINCE リプロダクション・スクリーンプリント 500エディション
CHOOSE YOUR WEAPON (OLIVE)
70 × 70 cm
WEST COUNTRY PRINCE リプロダクション・スクリーンプリント 500エディション
CHOOSE YOUR WEAPON (Red)
70 × 70 cm
WEST COUNTRY PRINCE リプロダクション・スクリーンプリント 500エディション
この作品は2010年にロンドンにあるThe Grange pubの壁に描かれたのが初出となります。
フードとマスクで顔を隠した男が吠える犬を連れています。
「お前の武器を選べ」というタイトルは、ロンドンやイギリス中のギャングがよく凶暴で攻撃的な犬を連れている事を示唆していると考えられています。
ここに描かれている犬は、1980年代に一世を風靡したストリートアーティストであるキース・へリングの作品をモチーフにしています。
写実的なバンクシーのアートスタイルとは真逆と言っていいキース・へリングのグラフィック・アートを用いることによって、コントラストを際立たせています。
2010年にPOWよりオリジナルプリントが発売されると、ファンが殺到して大混乱が生じたため、入手できなかった人のために急遽グレーの”queue jumping (列を飛ばす)"エディションが発売されました。
一般に販売された最後の作品群のひとつとして人気があります。
背景の色が白や青、紫など様々なカラーバリエーションがあります。
CHRIST WITH BAGS(キリスト・ウィズ・バッグ)
70 × 50 cm
WEST COUNTRY PRINCE リプロダクション・スクリーンプリント 500エディション
2004年にサイン版82部のみ作成された作品で、サイン無しのプリントが作られなかったことから希少な版画とされています。
また、バンクシー作品には珍しくストリートアートにもなっていません。
磔にされたキリストから十字架を取り除いた構図で、キリストはたくさんの買い物袋を両手に提げています。
モノトーンの画面に蛍光ピンクのリボンが目を引きますが、袋に写る影は黒い血のように滴っています。
別名「CONSUMER JESUS (消費者イエス)」というタイトルでも明らかなように、本来の意味を忘れて安易に祝われる現代の商業的なクリスマスへの批判、そして物を買うためにどのような自己犠牲を強いられるか(経済や精神的な犠牲など)見る人へ問いかけています。
バンクシーが作品を通して繰り返し批判を続けてきた消費主義と現代の商業主義は、キリスト教の本来の教えである慈善や感謝に反するものであることを表していると考えられます。
宗教的イメージを使った消費主義への批判は現時点では「トキシックメアリー」とこの作品の二作だけです。
CND Soldiers(CND)
70 × 50 cm
WEST COUNTRY PRINCE リプロダクション・スクリーンプリント 500エディション
銃を持った兵士が辺りを警戒する中、もう一人が壁に赤い塗料で大きなマークを描いています。
今では平和のシンボルとして知られるこのマークは、元はイギリスの核軍縮キャンペーン (CND) のシンボルマークとして1958年にデザインされました。
兵士たちの緊張した顔つきから、処罰を覚悟の上での抗議行動とみて取れます。
この作品が描かれた2003年当時、イギリスでは兵士や市民によるイラク侵攻にたいする反戦デモが繰り広げられており、平和活動家のブライアン・ホウが反戦抗議運動としてウェストミンスターでピースキャンプを続けていました。
国会議事堂前に設置したこの作品は、2006年に警官により他の反戦バナーなどと共に一斉撤去されてしまいましたが、後にこの撤去に対する抗議活動として、別のアーティストによりバンクシー作品を含む撤去された全てが復元されテート美術館に展示されました。
POWによるスクリーンプリント版は、2005年にサイン入りとサイン無し各350部の限定で発売されました。
2022年にウクライナを支援するためのオークションではこのCNDが出品されるなど、反戦へのバンクシーの想いが強く伝わる作品です。
DESTROY CAPITALISM(デストロイ・キャピタリズム)
56 × 76 cm
WEST COUNTRY PRINCE リプロダクション・スクリーンプリント 500エディション
アメリカのロサンジェルスで2006年に倉庫で開催された記念碑的な展示会"Barely Legal(かろうじて合法)"でSALE ENDSやGRANNIESと共に発表されました。
別名FESTIVALというタイトルがついた作品です。
音楽フェスティバルの来場者がTシャツを買うために並んでいます。
一般的に反社会的、反資本主義と見なされがちなパンク系の彼らが買おうとしている30ドルのTシャツには「資本主義を破壊しろDestroy Capitalism」の文字が。
資本主義とは真逆のスタンスのオルタナティブ系のフェスの客が、結局は消費傾向を分析されて巧妙に資本主義に乗せられていることを伺わせる強烈なブラックユーモアが効いた作品です。
DOUGHNUTS (Brown)(ドーナツ(チョコレート))
56 × 76 cm
WEST COUNTRY PRINCE リプロダクション・スクリーンプリント 750エディション
アメリカの白バイ隊員に警護された護送車の上に、チョコレートがかかったドーナツが乗っています。
この作品は、最初にドーナツにピンク色のストロベリーがかかった作品が発表され、2009年にチョコレート版が手彩色版で25部のみ発売されました。
バンクシーが常に作品に何かしらの政治的、環境的なメッセージを込めてきたことから、コーヒーとドーナツに目が無い存在としてステレオタイプ化されたアメリカの警官を描くことによって、警察が囚人の安全よりもスナックの安全性、というよりその利益の方を優先しているという皮肉として捉えることができます。
一方、警察を揶揄するのではなく、執行者としての記号としてとらえた場合、この作品はドーナツに代表される資本主義や商業主義の本質を守っていることを示していると考える事も可能でしょう。
中指を立てた悪名高い「RUDE COPPER」を始め、バンクシーにとって警察は嘲笑の対象として頻繁にモチーフとなっています。
FLYING COPPER(フライング・コッパー)
FLYING COPPER
100 × 70 cm
WEST COUNTRY PRINCE リプロダクション・スクリーンプリント 500エディション
FLYING COPPER (Pink)
100 × 70 cm
WEST COUNTRY PRINCE リプロダクション・スクリーンプリント 500エディション
スマイルフェイスに天使の羽のついたイギリス警官。
COPPERとはCOPコップから派生したスラングで警官を意味します。
ストリートアートの普及に貢献した重要な人物であり、バンクシーと10年以上仕事を共にしてきた画商のスティーブ・ラザリデス (Steve Lazarides)と初めて組んだ2003年の作品です。
最初はラザリデスの車のハッチバックドアから一枚£40で販売されていました。
フル装備でマシンガンを抱えた警官と、スマイリーフェイスに小さな天使の羽というパラドックスを描いたこの作品は、本来市民を守るための警官に潜む暴力性、脅威を皮肉った作品と言えます。
子供の無垢さの象徴でもあり、無垢さとは程遠い1990年代アシッドカルチャーのアイコンでもあるスマイルフェイスは他のバンクシー作品でも度々描かれています。