バンクシー作品
作品紹介
BOMB HUGGER(ボム・ハガー)
70 × 50 cm
WEST COUNTRY PRINCE リプロダクション・スクリーンプリント
ポニーテールの少女がテディベアでも抱くように大きな爆弾を抱えている、戦争と愛という相反するテーマを探求したバンクシーの初期の象徴的な作品です。
バブルガムのような鮮やかなピンク色の背景に対して、少女はモノクロで描かれ、爆撃機から投下されるような巨大な爆弾は少女の小ささをより強調しています。
まず2001年にイーストロンドンの壁に描かれ、別バージョンが2003年にブライトンに登場しました。
スクリーンプリントは2003年に制作され、その後もキャンバス版などフォーマットを変えて繰り返し描かれています。
反戦活動にはプラカードに描かれたこの作品が用いられました。
民主主義や平和維持を方便にした戦争行為に対する疑問を表現すると共に、愛の力がまだ有利だというバンクシーのメッセージでもあります。
CHOOSE YOUR WEAPON(チューズ ユア ウェポン)
CHOOSE YOUR WEAPON (Olive)
70 × 70 cm
WEST COUNTRY PRINCE リプロダクション・スクリーンプリント
CHOOSE YOUR WEAPON (Red)
70 × 70 cm
WEST COUNTRY PRINCE リプロダクション・スクリーンプリント
この作品は2010年にロンドンにあるThe Grange pubの壁に描かれたのが初出となります。
フードとマスクで顔を隠した男が吠える犬を連れています。
「お前の武器を選べ」というタイトルは、ロンドンやイギリス中のギャングがよく凶暴で攻撃的な犬を連れている事を示唆していると考えられています。
ここに描かれている犬は、1980年代に一世を風靡したストリートアーティストであるキース・へリングの作品をモチーフにしています。
写実的なバンクシーのアートスタイルとは真逆と言っていいキース・へリングのグラフィック・アートを用いることによって、コントラストを際立たせています。
2010年にPOWよりオリジナルプリントが発売されると、ファンが殺到して大混乱が生じたため、入手できなかった人のために急遽グレーの”queue jumping (列を飛ばす)"エディションが発売されました。
一般に販売された最後の作品群のひとつとして人気があります。
背景の色が白や青、紫など様々なカラーバリエーションがあります。
DESTROY CAPITALISM(デストロイ・キャピタリズム)
56 × 76 cm
WEST COUNTRY PRINCE リプロダクション・スクリーンプリント
アメリカのロサンジェルスで2006年に倉庫で開催された記念碑的な展示会"Barely Legal(かろうじて合法)"でSALE ENDSやGRANNIESと共に発表されました。
別名FESTIVALというタイトルがついた作品です。
音楽フェスティバルの来場者がTシャツを買うために並んでいます。
一般的に反社会的、反資本主義と見なされがちなパンク系の彼らが買おうとしている30ドルのTシャツには「資本主義を破壊しろDestroy Capitalism」の文字が。
資本主義とは真逆のスタンスのオルタナティブ系のフェスの客が、結局は消費傾向を分析されて巧妙に資本主義に乗せられていることを伺わせる強烈なブラックユーモアが効いた作品です。
FLYING COPPER(フライング・コッパー)
FLYING COPPER
100 × 70 cm
WEST COUNTRY PRINCE リプロダクション・スクリーンプリント
FLYING COPPER (Pink)
100 × 70 cm
WEST COUNTRY PRINCE リプロダクション・スクリーンプリント
スマイルフェイスに天使の羽のついたイギリス警官。
COPPERとはCOPコップから派生したスラングで警官を意味します。
ストリートアートの普及に貢献した重要な人物であり、バンクシーと10年以上仕事を共にしてきた画商のスティーブ・ラザリデス (Steve Lazarides)と初めて組んだ2003年の作品です。
最初はラザリデスの車のハッチバックドアから一枚£40で販売されていました。
フル装備でマシンガンを抱えた警官と、スマイリーフェイスに小さな天使の羽というパラドックスを描いたこの作品は、本来市民を守るための警官に潜む暴力性、脅威を皮肉った作品と言えます。
子供の無垢さの象徴でもあり、無垢さとは程遠い1990年代アシッドカルチャーのアイコンでもあるスマイルフェイスは他のバンクシー作品でも度々描かれています。
GAME CHANGER(ゲーム・チェンジャー)
70 × 70 cm
WEST COUNTRY PRINCE リプロダクション・スクリーンプリント / WCP証明書付属 手書きエディション 200部限定
世界中で新型コロナウィルスが猛威を振るっていた2020年5月6日、バンクシーはインスタグラムに一枚の作品を発表します。
ただ一言Game Changer とだけ書かれたこの作品には、スーパーヒーローのおもちゃに見向きもせず、マスクにマント姿のナース人形で遊ぶ少年が描かれていました。
ゲームチェンジャーとは動向を大きく変える人や出来事を意味します。
人々の命を救うために日夜戦っている医療従事者こそが新しいヒーロー、ゲームチェンジャーだというバンクシーの想いが込められたこの作品は、イギリスのサザンプトン総合病院に寄贈され、翌年オークションにかけられました。
予想価格を大幅に上回る約25億円で落札となり、収益金はサザンプトン総合病院とイギリス国民健康保険(NHS)の関連団体に寄付されました。
唯一の色彩であるナースの胸元の赤十字マークが目を引きます。
困難な時期にたくさんの勇気と希望を与えてくれた作品です。
GOLF SALE(ゴルフ・セール)
34.5 × 49.5 cm
WEST COUNTRY PRINCE リプロダクション・スクリーンプリント
バンクシーは権威と軍事的支配に対する反抗を度々作品のテーマにしてきました。
このパワフルな作品は、1989年に天安門事件の直後に撮影された戦車の行く手を遮る男性を撮影した「無名の反逆者」と呼ばれる写真をモチーフにしています。
たった一人で非暴力による抵抗を貫いたこの勇敢な男性をモデルにしたこの作品では、セールの最後尾を誘導する人のように「ゴルフセール」と書かれたプラカードを掲げています。
バンクシーは、この作品で資本主義と戦争を強烈に批判すると同時に不正に対し立ち向かう抗議者への賛辞を表しています。
2001年に出版された本 ”In Banging Your Head Against A Brick Wall”の中で、「資本主義が崩壊するまで私たちは世界を変えるために何もすることができません。
それまでの間、私たちは自分たちを慰めるために買い物に行くべきです」とバンクシーは語っています。
この作品の他にも、SALE ENDSやCHRIST WITH BAGS, DESTROY CAPITALISM等でバンクシーは度々資本主義社会を揶揄する作品を手がけています。
HAPPY CHOPPERS(ハッピー・チョッパーズ)
70 × 50 cm
WEST COUNTRY PRINCE リプロダクション・スクリーンプリント
2002年にセントラル・ロンドンの壁に描かれ、翌年のサンタズ・ゲットー(Santa's Ghetto)というXmasイベントでイスラエルとパレスチナ紛争と、ウェストバンクの貧困問題に焦点を当てるためにプリント版が制作されました。
タイトルのチョッパーとはアメリカのスラングでヘリコプターのこと。
Chop=切り刻むの意味で、大気を切るローター音と、標的を粉砕する機関銃(を装備した)武装ヘリの二重の意味を含みます。
脅威的な軍用ヘリの隊列と、ピンクのリボンやマンガのような白い雲の場違いな対比が印象的です。
脅威を内在する軍用機を男らしさや愛国精神的な飾りでごまかしている事への冷笑的な批判と捉えられています。
バンクシーはヘリコプターを軍による介在の象徴として繰り返し描いています。
2003年にイラク戦争反対運動でバンクシーはこの作品などを配布しデモ参加者はプラカードに使用して行進しました。
英国バンドのブラーやマッシブ・アタックがこの活動に賛同して喧伝した事でバンクシーに注目が集まることとなりました。
I FOUGHT THE LAW(アイ・フォウト・ザ・ロウ)
70 × 70 cm
WEST COUNTRY PRINCE リプロダクション・スクリーンプリント
2001年にスコットランドのグラスゴーで開かれた”Peace Is Tough (平和は辛い)”展にキャンバスアートとして初めて登場しました。
版画は2004年にthe British Artから販売されました。
男性が三人の男に取り押さえられています。
男性の手にはオレンジのペンキがついた刷毛、壁には「I FOUGHT THE LAW, AND I WON (法律と戦い、そして勝利した)」とあります。
これはイギリスのバンドThe Clashの1979年の曲「I Fought the Law」の歌詞の一節、
"Fought the Law and the law won (俺は法律と戦い法律が勝った)”
をもじったものです。敢えてこの歌詞を用いることで、バンクシーは法律に果敢に立ち向かおうとする人は常に嘲笑する大衆に打ち負かされる事を描いています。
また、グラフィティアーティストは何度捕まろうが常に勝利する、と捉えることもできます。
捕まった後で何が起ころうともメッセージを壁に残すことには成功した=勝利した、と言えるからです。
誌面に掲載された写真風の作風ですが、この配置は1981年のレーガン大統領暗殺未遂事件の暗殺犯を取り押さえた時の写真の構図を反転したものです。
KEEP IT REAL(キープ・イット・リアル)
70 × 50 cm
WEST COUNTRY PRINCE リプロダクション・スクリーンプリント
サルが重そうにボードを下げたバンクシーを象徴する作品のひとつ《Laugh Now》の別バージョンとして、同じ構図でボードの文字が違う《Keep It Real》があります。
サルの絵がよく知られていますが、こちらは子供の落書きのようなカートゥーン調の少年が描かれたバリアント作品です。
Keep it realはスラングで「自分に対して正直であれ、自分を見失うな」という意味で使われます。
この作品の少年は周りを気にして自信なさげに見えます。
他者の目を気にして自分の望む人生を歩めていない人へ「自分らしくいろ、カッコよく生きろ」というバンクシーの励ましや叱咤激励のメッセージが込められているように見えます。
LOVE RAT(ラブ・ラット)
50 × 35 cm
WEST COUNTRY PRINCE リプロダクション・スクリーンプリント
リバプールのストリートに壁画として描かれ、2004年にRADAR RATやGANGSTA RATなど他のラットシリーズと共に出版されました。
ネズミが今ペイントし終えたばかりのハートからはストリートアートによく見られるように絵の具が垂れているので、これも町中に描かれたものだと想像できます。
ハートの絵は描かれた町中に愛をもらたすように見えますが、滴る赤い絵の具は血を流しているようにも連想できます。
愛のポテンシャルは喜びだけでなく痛みと苦痛ももたらすものとして、バンクシーはウェブサイトでこの絵を「浮気した相手に最適」と冗談めかして紹介しました。
ARTのアナグラムでもあるRAT/ネズミはバンクシーにとって最も多作な主題のひとつであり、ネズミやサルは時に人間のような特徴を与えれられて、人間の悪習や欠点などを人々に気付かせるために寓話的なモチーフとして度々作品に登場します。
現代社会におけるアウトサイダーであるネズミを描いた作品はバンクシーを象徴する作品として特に高い人気を博しています。